最初につくったモデルは開口端と閉口端、それぞれの面積が等しいタイプ。以後「1.0タイプ」と呼びます。
断面が内寸で75mm×120mm。で、管の長さが65cmね。
材料の板は大きな荷物の梱包の敷き板に使われていた廃材のMDFボードで、厚みが13mmです。
接着は両面テープで貼り合わせるだけ。データを採ったらバラしますから、必要最小限の手間で作ります。
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プランターのスタンドを使って本体を宙に浮かしている。
開口は下。 |
第一段階。
組み上がった管にドライバーを取り付けて吸音材は詰めない状態でインピーダンスを計測してみます。
ドライバーのFsと管のチューニングがピッタリ合致してます。
インピーダンスを抑え付ける作用がドライバーのインピーダンスピークに割り込むように働いたため、ピークが真っ二つにきれいに分かれています。
しかし吸音材が詰められていないので、管内の反響、共鳴で音は台無しの状態。
なおかつ、インピーダンスピークはきれいに二つに分かれていてもピーク値はさほど低下していません。これは低域の伸びが少ないってことらしい。
吸音材を詰めて余計な共鳴とインピーダンスピークをおさえこむ必要がありそうです。
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見ずらい画面で恐縮です。 黄色?がドライバー単体のインピーダンス特性でそれに重なってる緑色の双子山がTLSのインピーダンス。
上の曲線はTLSの位相特性。 |
第二段階。
二枚目のグラフは吸音材を30g詰めた状態でのインピーダンス。↓
吸音材の効果で管内の音速が低下したためインピーダンスを抑え付ける作用が低域側にずれ込んでピークのバランスがくずれましたが、ピーク値自体は低下し、ヒアリングしても余計な反響が耳につかなくなりました。
吸音材の量、30gは適当に決めました。ほんとテキトーですが大きくハズしてしまってることもないと思います・・・・・。
吸音材の影響でズレた管のチューニングを管長をきりつめることによって元にもどしてみます。
測定してインピーダンスを確認しながら少しずつ切り詰めていった結果、9cm切り落としたところでチューニングのポイントが元にもどりました。
もともと65cmあった管長は最終的には56cmになりました。
吸音材の影響って結構大きいんですね。
あと位相の変化にもご注目!
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黄色のドライバー単体のインピーダンスのピークと緑色のTLSのディップが重なった。
ピークもきれいに抑えられている。
典型的なTLSのインピーダンスカーブっすね。。
位相のカーブも上記二点に比べてスムーズになっているよ。 |
Martin J.KingのMathCADスプレッドシートを使えば吸音材の影響こみでシュミレーションができるらしいので、このように面倒なことをしなくてもいけるのだけど、デコスピはMathCADがまだ理解できないもので・・・・。
でも実際に切断しながらインピーダンスのカーブが少しずつ変化していく様を観察することは有意義であると実感します。
数式は頼りになるツールですが、本当に大切なのはそこからみちびかれる「物理イメージ」であり、イメージこそは体験することによってより鮮明になりますよね!